先週のイギリスGPよりも高温の中で開催された70周年記念GP。
この温度と、一段階柔らかいセットとなったタイヤがカギとなったグランプリでした。
結果は、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが見事に優勝。
今シーズン初めてのメルセデス以外の勝利ですね。
正直、レース前はまったく予想していなかった結果なので驚きました。
やっぱりこういう、読めない展開が起きるところがF1の面白いところですね。
そんな70周年記念GP。
あらためてチーム戦略、雰囲気、調和が大切であると感じさせられるグランプリとなりました。
良いチーム、悪いチームありましたので、さっそく振り返っていくことにしましょう。
戦略・雰囲気ともに最高のレッドブル
見事な戦略で、今シーズンの初勝利を実現したレッドブル・ホンダ。
ご覧のように、チームの雰囲気も最高ですね。
この写真のホンダ山本さんの、逃げていく躍動感がすごい(笑)
土曜日の予選で、唯一ハードタイヤでQ2突破したところからこの戦略は始まってました。
レースでの戦略で、肝になったポイントは2つあったかと思います。
まず、タイヤ交換を引っ張り、タイヤ交換したメルセデス勢と遜色ないタイムで走り続けれたこと。
フェルスタッペンもコメントしていましたが、メルセデス勢の1セット目が早々にダメになっているのが解かった時に、プッシュしてさらにライバルのタイヤを悪化させ悪循環へ導けましたね。
戦略とそれに臨機応変に応えることができるドライバーの凄さを感じました。
2つ目のポイントは、2セット目のミディアムタイヤを固執せずに6周で捨てたことです。
26周目に1回目のピットインでミディアムに変更後、32週目には2回目のピットインをしています。
テレビではボッタスにあわせたようにも見えましたが、前を走っていたのはフェルスタッペンなので、これは最初からの作戦だったのではないかと想像しています。
これらは先週使ったタイヤなので、きっと先週のレースをじっくり分析して、レース前からこの戦略を立てていたのでしょう。
あらためて、F1のトップチームの戦略と分析力の凄さを思い知りました。
もともと、近年はスロースタートが続いているこのチームです。
いよいよ第5戦になって本領発揮なのかもですね。
現実的には厳しいかもですが、このあともメルセデスとの差を縮めていって欲しいですね。
そうすれば、チャンピオン争いがもっともっと面白くなってきます。
メルセデスは、きっと失敗からしっかり学ぶ
対して、メルセデス勢です。
今回は、戦略が云々というよりも、とにかく少し走るとブリスターができてしまう。
そんな状態にライバルが最高の戦略をぶつけてきたので、ライバルを褒めるしかないレースだったのではないでしょうか。
マシンとしてはどうなんでしょうか。
想像で詳細はわかりませんが、他チームに比べて低重心なマシンに、内圧を高めることで、よりタイヤに負荷がかかりやすくブリスターができやすい状態だったのかもしれませんね。
一昔前のタイヤ負荷に弱い頃のメルセデスを見ているようでした。
しかし、転んでもタダでは起きないのがこのチーム。
きっと今回の失敗から、マシンの弱点克服や戦略の見直しをすぐに対策してくるでしょう。
しかも、まだまだ一発の速さの絶対的優位は変わるはずが無いです。
次戦スペインGPでは、また強いメルセデスを見ることになるのではないでしょうか。
ダメな時のフェラーリが帰ってきた・・・
チーム状況で、嫌な匂いがしてきているのがフェラーリです。
まずレース結果としては、ルクレールは素晴らしいレースでした。
まさかの1ストップ作戦を決行し、これが見事にうまくいき4位入賞です。
いまのマシンの実力からすれば、パーフェクトな結果だったのではないでしょうか。
ルクレールは、昨年タイヤマネジメントに苦しんでいる様子がうかがえました。
でも今回のレースですごく成長が感じられたので、やっぱり凄いドライバーだなと感心しました。
一方のベッテルは相当苦しんでます。
チーム状況と相まって、最悪の雰囲気になってきています。
これぞ、悪い時のフェラーリという感じです。
レースとしては、ご覧のようにベッテルがオープニングラップでスピン。
これは、残念ながらチャンピオンドライバーとしてはいただけません。
ここ数年、スピンや接触が目立つのが気になります。
しかしその後は、さすがの走りでリカバリーしていきます。
ところがここからチームと戦略で齟齬が発生し、なんか泥沼化しそうな雰囲気になっていきます。
ハードタイヤスタートなので、まだタイヤが持つと思っていたのに22周でピットインさせられ、トラフィックの中に戻されたことがその始まり。
次に、後ろからタイヤ交換したルクレールが迫ってきたとき、チームからは2回目のピットインの指示。
2セット目のハードタイヤはまだ11周しか走っていないのに、です。
その結果、最後ミディアムタイヤで20周も走ることになり、タイヤが終わってしまいます。
チェッカー直後の無線では、ベッテルは終始無言。
レース後に、ベッテルは『チームの戦略がダメだった』と言います。
対して、フェラーリ代表のビノットさんは『スピンしちゃったからダメだった』と言ってます。
どっちも、言ってることは正しいと思います。
ただ、こういうのは本人たちがミーティングで会話する内容です。
それがマスコミに対してコメントしているところに、今の根が深いチーム状況が見て取れます。
このままいくと、ワールドチャンピオンがシーズン途中にチームを去る、とかもっとキナ臭いニュースが出てきそうな予感がします。
なんとかお互いに話し合って今シーズンの結果を出すことに集中してほしいですね。
ヒュルケン、次戦もあるのか?
レース前の注目を集めていたのは、やっぱり予選3位のヒュルケンベルグでしょう。
管理人も、スタートに大いに注目して見ていました。
残念ながら、スタートでハードタイヤのフェルスタッペンに先行を許しました。
久々のスタートとしては上出来だったでしょう。
ただ、この時点で表彰台の目は消えてしまいました。
その後は、タイヤマネジメントしながら、チームメイトの前をずっと走ってました。
でも初めてのマシンで初めてのレース距離、タイヤマネジメントがうまくいかなかったのか、3ストップ作戦となり結果は7位。
ハードルを上げ過ぎて表彰台を期待してしまいましたが、久々のレースとしては上々の結果だったのではないでしょうか。
拍手を贈ってあげたいです。
チームとしては、スポーティングレギュレーション違反の戒告は受けましたが、このままこのマシンを使ってよいということなので、どうレースペースを上げていくかが今後の課題ですね。
タイヤの使い方が上手いペレスが戻ってくれば、また違う結果にもなるのでしょう。
ただし、今回の検査でも陽性だったペレスは、次戦スペインGPに参戦できるのか?
また木曜日あたりまで決まらないみたいです。
もしヒュルケンベルグに次戦があるなら、タイヤが固くなって1ストップが予想されるスペインGPの方が表彰台は期待できるかもしれませんね。
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見てきたように、今回の70周年記念GPは、
- F1の戦略の重要性
- チームの雰囲気の良し悪し
が目立ったグランプリでしたね。
最新のハイテク技術が満載なのに、大河ドラマばりに予測不能な人間模様が結果に影響してくる。
そういうところがF1の面白いところではないかと思います。
次戦は、一体どんなドラマが見られるのか。
また今週末のスペインGPを楽しみにすることにしましょう!