今週末のトルコGPでタイトルが決まった場合、3レースも残しての戴冠時期が歴史上どれくらい早いのかを昨日の記事で調べました。
そうしたら、ツイッターでこんなコメントをいただきました。
『ハミルトンって戴冠レースで、今まで一度もポールポジション取ってないんよな』、と。
確かに言われてみればそうかもしれません、すばらしい着眼点ですね!
よく考えたら予選だけではなく、ここ数年のタイトル決定レースではハミルトンは勝ててないですよね。
もしかして、さすがのハミルトンもタイトル決定レースは過度のプレッシャーから、成績が落ちているのかも??
これはデータで見ると面白そうなので、ハミルトンのタイトル決定レースにおける戦績と、過去のチャンピオンたちのデータを比べてみることにしました。
ハミルトンのタイトル決定レース戦績
年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
2019年 | アメリカGP | 5位 | 2位 |
2018年 | メキシコGP | 3位 | 4位 |
2017年 | メキシコGP | 3位 | 9位 |
2015年 | アメリカGP | 2位 | 優勝 |
2014年 | アブダビGP | 2位 | 優勝 |
2008年 | ブラジルGP | 4位 | 5位 |
まずこちらが、ルイス・ハミルトンのチャンピオン決定レース戦績です。
ポールポジションと優勝は、黄枠に赤文字にしています。
確かに一度もポールポジションはありません。
ハミルトンのこれまでの通算成績は、263レース出走でポールポジション97回(36.9%)です。
3レースに1回以上はポールポジションであることを考えると、チャンピオン決定レースでは異常なほど予選結果が悪いですね。
一方レースではここ3年は勝てませんでしたが、2014~15年は勝ってチャンピオンを決めています。
ハミルトンにしては少ないように感じますが、通算93勝(35.4%)とほぼ同じ確率数値です。
また表彰台には、優勝とあわせて半分の3回しか乗れていないことが解ります。
ハミルトンの通算表彰台回数は162回(61.6%)なので、残念ながら通算成績よりも表彰台で戴冠を祝うことができたケースは少ないことが解ってきました。
複数回チャンピオンドライバーとの比較
過去のチャンピオンたちも見てみることにしましょう。
古すぎる時代だと出走台数が少なかったりするので、日本に馴染みの深い1987年以降のチャンピオンを調べてみました。
まずは複数回チャンピオンを獲得した、7名のドライバーから見てみましょう。
ミハエル・シューマッハー
年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
2004年 | ベルギーGP | 2位 | 2位 |
2003年 | 日本GP | 14位 | 8位 |
2002年 | フランスGP | 2位 | 優勝 |
2001年 | ハンガリーGP | PP | 優勝 |
2000年 | 日本GP | PP | 優勝 |
1995年 | パシフィックGP | 3位 | 優勝 |
1994年 | オーストラリアGP | 2位 | リタイア |
ミハエルこそタイトル決定レースで弱そうなイメージを持っていました。
でもご覧の通り、通算PP獲得率(22.1%)や通算勝率(29.7%)を大きく上回っていて、それほど不得意でないことが解ります。
これは1997年の体当たりや1998年のエンストなど、タイトル獲得できなかったレースの印象が強いということなのでしょう。
セバスチャン・ベッテル
年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
2013年 | インドGP | PP | 優勝 |
2012年 | ブラジルGP | 4 | 6 |
2011年 | 日本GP | PP | 3 |
2010年 | アブダビGP | PP | 優勝 |
ベッテルも素晴らしい結果で、4回中3回は表彰台で戴冠を祝うことができています。
通算PP獲得率(22.4%)や通算勝率(20.9%)も大きく上回ってます。
アラン・プロスト
年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
1993年 | ポルトガルGP | 2位 | 2位 |
1989年 | 日本GP | 2位 | リタイア |
1986年 | オーストラリアGP | 4位 | 優勝 |
1985年 | ヨーロッパGP | 6位 | 4位 |
タイトル決定レースでのポールポジションはありません。
しかし1989年こそセナとの接触でリタイアですが、しっかりした結果でチャンピオンを獲得するというレースセット重視のプロストらしいデータですね。
アイルトン・セナ
年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
1991年 | 日本GP | 2位 | 2位 |
1990年 | 日本GP | PP | リタイア |
1988年 | 日本GP | PP | 優勝 |
1991年は2位ですが、最終コーナーでベルガーに譲ったためで実質優勝のようなものです。
最前列からスタートし優勝かリタイアという、こちらも、いかにもセナらしい結果です。
ネルソン・ピケ
年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
1987年 | 日本GP | 5位 | 15位 |
1983年 | 南アフリカGP | 2位 | 3位 |
1981年 | アメリカGP | 4位 | 5位 |
1987年はフリー走行でチャンピオンが決まってしまい、もう頑張る必要がなかったので精彩を欠いた結果となっています。
でも1981年と1983年はいずれも最終戦で必要なポイントをしっかり稼ぎチャンピオンを決めています、こちらも、いかにも仕事人・勝負師のピケらしい結果です(笑)
フェルナンド・アロンソ
年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
2006年 | ブラジルGP | 4位 | 2位 |
2005年 | ブラジルGP | PP | 3位 |
タイトル決定レースは両年共に、無理をする必要のないレースだったのが結果に現れています。
両レースともきっちり表彰台を獲得し、戴冠を祝うことができています。
ミカ・ハッキネン
年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
1999年 | 日本GP | 2位 | 優勝 |
1998年 | 日本GP | 2位 | 優勝 |
予選は2位ながらも抜群のスタートで、両レースとも優勝でタイトルを決めたのがハッキネン。
2回とも勝ってチャンピオンを決めるなんて、なんだかとてもカッコいい結果です。
その他チャンピオンドライバーとの比較
その他、一度だけチャンピオンになったドライバー6名を見てみましょう。
その他チャンピオン
ドライバー | 年度 | 決定レース | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|---|
N.ロズベルグ | 2016年 | アブダビGP | 2位 | 2位 |
J.バトン | 2009年 | ブラジルGP | 14位 | 5位 |
K.ライコネン | 2007年 | ブラジルGP | 3位 | 優勝 |
J.ビルヌーブ | 1997年 | ヨーロッパGP | PP | 3位 |
D.ヒル | 1996年 | 日本GP | 2位 | 優勝 |
N.マンセル | 1992年 | ハンガリーGP | 2位 | 2位 |
シーズン終盤にマシンの戦闘力が落ちてきた2009年のバトンを除き、全員が予選・決勝とも3位以内の安定した成績でチャンピオンを決めていることが解ります。
特にロズベルグやマンセルやビルヌーブなど、タイトル決定レースは無理をする必要のないレースだったので、着実に表彰台をキープし、必要なポイントを稼ぎチャンピオンを決めていることが解ります。
トルコGPはハミルトンの予選に注目!
ハミルトンと、過去のチャンピオンたちのタイトル決定戦のレース戦績データを見てきました。
母数が少ないので一概には言えないですが、
- 予選は、各チャンピオンのキャラクターを現した結果
- レースは、無理のないポイント狙いのため決して優勝は多くない
というデータだったのではないでしょうか。
ハミルトンに置き換えると、レース結果は、表彰台の回数は若干少ないものの、ポイント狙いのレースもあったので過去チャンピオンと比べてもこんなものなのでしょう。
しかし予選では、3レースに1回以上はポールポジションを取っているのに、これまでのタイトル決定レースで一度もポールポジションが無いのはやはり異常です。
これはトルコGP観戦のあらたな楽しみができましたね!
次戦タイトル決定戦のトルコGPでは、このジンクスをハミルトンが払拭し、ポールポジションを取ってチャンピオンを決めるのか!
ぜひ楽しみにタイトル決定レースを見守ることにしましょう!
以上、ハミルトンと過去チャンピオンのタイトル決定戦レース戦績についてでした!