ジョージ・ラッセルが、先日のF1ポルトガルGPでまたも予選でスーパーラップを決めQ2進出を果たしてくれました。
これでデビューしてから、チームメイトに一度も予選負けなしの33連勝となります。
こんな記録いままで見たことないので、他のドライバーってどうだったのか、一体どれくらい凄い記録なのか、とても気になりますよね。
ラッセルの来年のシート争いの雲行きも怪しくなってきたので、凄い記録であることを確かめるためにも、調べることにしてみました。
なお70年の歴史のあるF1です、あまりにも古すぎると複雑なエントリー形式など解り辛くなるので、以下の調査条件で調べることとしました。
(調査条件)
- 1987年以降に現役だった全ドライバー:213名分を集計
- 予備予選での勝敗はカウントせず、予選勝敗のみでカウント
- 1台エントリー時や、1台のみ予備予選突破した場合はカウントしない
- 3台エントリー時は、最上位の予選結果を勝利とする
1987年以降のベスト5記録
年度 | ドライバー | デビュー後 予選連勝数 |
---|---|---|
2019-20年 | ジョージ・ラッセル | 33連勝* |
2002-03年 | マーク・ウェバー | 18連勝 |
1993年 | ルーベンス・バリチェロ | 14連勝 |
1994年 | H.H.フレンツェン | 9連勝 |
1998年 | 高木虎之介 | 7連勝 |
*2020年 F1第12戦 ポルトガルGP終了時点
デビューしてからの対チームメイト予選連勝記録数のベスト5がこちらです!
現在進行形のラッセルの記録、2位にダブルスコアに近い差をつけて圧倒的な数字であることが解りました、これは凄い!
2位はマーク・ウェバーです。
確かに初期の頃は、トゥルーリに並ぶ予選番長っぷりでしたよね。
2002年のデビューイヤーのチームはミナルディで、チームメイトはアレックス・ユーンとアンソニー・デビッドソンに対して、負けなしの予選17戦全勝でした。
そして2年目の2003年にジャガーに移籍、アントニオ・ピッツォニアに第2戦で初めて予選で土をつけられるものの、途中ジャスティン・ウィルソンにチームメイトが変わってからも勝ち続け、2年目は13勝3敗でした。
ちょうど2年で33戦、今のラッセルと同じレース数で30勝3敗です、さすがの記録ですね!
3位はルーベンス・バリチェロです。
1993年のデビューシーズンのチームはジョーダン。
カペリ、ブーツェン、アピチュラ、ナスペッティと次々に交代するチームメイトを相手にデビューから予選14連勝します。
しかし、エディ・アーバインがチームメイトとして代役で参戦した第15戦日本GPで初めて予選で敗れます。
しかし翌戦はきっちり上回り、デビューイヤーの予選結果が15勝1敗です、これもさすがの記録ですね。
2~4位に入った顔ぶれを見ると、いずれもF1で勝利したことがあり、年間ランキング3位以上の経験があるドライバーしかいないのはラッセルには心強いデータです。
しかし一方で5位の高木虎之介選手は、予選で圧倒的なスピードを見せながらも、戦闘力の無いマシンで2年間ノーポイント、F1を去ることになってしまいます。
なんだかラッセルと境遇が似ていますよね、、、、こちらは不吉なデータですね(笑)
過去のチャンピオンの記録
年度 | ドライバー | デビュー後 予選連勝数 |
---|---|---|
1991年 | ミカ・ハッキネン | 6連勝 |
1991年 | ミハエル・シューマッハ | 5連勝 |
1984年 | アイルトン・セナ | 2連勝 |
1980年 | アラン・プロスト | 2連勝 |
2001年 | フェルナンド・アロンソ | 1 |
1996年 | ジャック・ヴィルヌーヴ | 1 |
1979年 | ネルソン・ピケ | 1 |
2007年 | ルイス・ハミルトン | 0 |
2007年 | セバスチャン・ベッテル | 0 |
2006年 | ニコ・ロズベルグ | 0 |
2001年 | キミ・ライコネン | 0 |
2000年 | ジェンソン・バトン | 0 |
1992年 | デイモン・ヒル | 0 |
1980年 | ナイジェル・マンセル | 0 |
1987年以降に現役だったチャンピオン14人の結果がこちらです。
「1」は、デビュー戦のみチームメイトに予選で勝ち、
「0」は、デビュー戦でチームメイトに予選で負けた、
という意味です。
なんとびっくり、将来のチャンピオンたちでも、半数の7人がデビュー初戦ではチームメイトに予選で敗れている結果となっています。
この中でトップのハッキネンは、ハーバートにチームメイトが変わった7戦目に初めて負けています。
シューマッハはデビュー6戦目である1991年オーストラリアGPにて、ネルソン・ピケがF1引退レースで奮起したのか、初めて予選で負けてしまいました。
セナやプロストでさえも、デビュー直後はさすがに苦労したのか、3戦目には初めて土がついています。
マシントラブルなどの運要素やチームメイトの相関もあるので、一概に比べることはできないとはいえ、歴代チャンピオンでもこの程度の連勝記録なので、33戦も勝ち続けているラッセルの記録はやはり凄い記録なのではないでしょうか。
歴代日本人ドライバーの記録
年度 | ドライバー | デビュー後 予選連勝数 |
---|---|---|
1998年 | 高木虎之介 | 7連勝 |
1992年 | 片山右京 | 1 |
2009年 | 小林可夢偉 | 0 |
2007年 | 中嶋一貴 | 0 |
2006年 | 山本左近 | 0 |
2006年 | 井出有治 | 0 |
2002年 | 佐藤琢磨 | 0 |
1997年 | 中野信治 | 0 |
1994年 | 井上隆智穂 | 0 |
1994年 | 野田英樹 | 0 |
1993年 | 鈴木利男 | 0 |
1988年 | 鈴木亜久里 | 0 |
1987年 | 中嶋悟 | 0 |
1991年 | 服部尚貴 | – * |
*予備予選のみの出走のため集計不可
日本人の歴代F1ドライバーの結果がこちらです。
なんとデビュー戦でチームメイトに予選で勝った日本人F1ドライバーは2人しか居ないことが解ります。
そう考えると、高木虎之介選手の7連勝は全体でも5位ですし光っています。
デビューからチームメイトのリカルド・ロセットを圧倒し続けたのですが、チームメイトの実力が未知数の中で、評価され辛かった不運があったとしか言いようが無いですね。
あとは、もし2021年から角田裕毅選手がF1デビューし、もしチームメイトに初戦から予選で勝つようなことがあれば、それだけで凄いということがデータを調べてみてよく解かりましたね!
トータルサマリ結果
上位5名以外の全ドライバーの集計結果を載せようと思ったのですが、あまりにも膨大な量のためサマリー結果だけ掲載したいと思います。
1987年以降のF1ドライバー:206人(予備予選にのみ出走の7名を除く)
デビュー後 予選連勝数 | ドライバー | 比率 |
---|---|---|
33連勝 | ラッセル | 0.5% |
18連勝 | ウェバー | 0.5% |
14連勝 | バリチェロ | 0.5% |
9連勝 | フレンツェン | 0.5% |
7連勝 | 高木虎之介 | 0.5% |
6連勝 | ハッキネン | 0.5% |
5連勝 | 4名 | 1.9% |
3連勝 | 4名 | 1.9% |
2連勝 | 11名 | 5.3% |
1 | 33名 | 16.0% |
0 | 148名 | 71.8% |
このデータから、デビュー初戦に予選でチームメイトに敗れる確率は71.8%ということですね、こんなに高いとはびっくりしました。
運よくデビュー戦で勝てても、2連勝することすらかなり難しく、3連勝以上できる確率は7%程度であることが解ります。
チームメイトの相関で一概には言えないとはいえ、F1まで上がってくる時点でどんな相手でも一流ドライバーであることに変わりはありません。
このことからも、あらためてジョージ・ラッセルの現在の33連勝は異常な数字であることがよく解かりました!
来年のシート争いが微妙な状況ではありますが、この記録もどんどん伸ばしてもらって、シート確保のアピールポイントにして欲しいと思います。
以上、歴代F1ドライバーのデビュー後の予選連勝数調査でした!