現代F1ではあり得ない危険な光景を、当時は普通に見ていました。
思い出すと、ゾッとしてきます。。。
いよいよ年末に差し掛かり、2020年のF1を振り返っています。
安全性については、衝撃的だったグロージャンのクラッシュ以外にも、今年はいくつか危険なシーンを目にすることとなりました。
- クレーン作業中なのに予選再開(トルコGP)
- マーシャル作業中の高速走行(エミリア・ロマーニャGP)
- マーシャルのコース横切り(バーレーンGP)
などなど・・・。
どれも一つ間違えば、非常に危険な事故になっていた可能性があるので、FIAには早急に再発防止策を練って欲しいところです。
と、そんなことを考えていたら・・・
管理人がF1を見始めた1980年代後半~1990年代前半のF1は、今思えばとんでもなく恐ろしい光景を見てきた気がします、
現代F1とは全然違う常識、果たしてどんなものがあったのか?
気になってきたので、当時の光景を思い出してみることにしました。
リタイアしても、マシンは放置のまま!
Suzuka 1990 pic.twitter.com/1vFwTjZ66A
— PHN16 (@PHN16) July 13, 2020
こちらは、1990年のF1日本GP 鈴鹿の光景です。
セナとプロストが1周目の1コーナーでクラッシュ。
そのクラッシュの砂に乗り、2周目にはベルガーがスピン、その後も続々と同じ場所でリタイアが続出しましたが・・・
この写真だけでも合計5台、リタイアマシン放置状態で、マシンの墓場となっています。
ちなみに後ろで小さく、2コーナーに向けて青いリジェのマシンが走っていますが、もちろん普通にレースは続行されています。
今なら間違いなく1周目にセーフティーカーが出動して、クラッシュした2台やコースがキレイになるまでレースが再開されないはずです。
現代のF1から見始めた若いファンの方には、信じられない光景かもしれません。
リタイアしたら、コースを横切ってピットに戻る!
こちら、1991年のF1日本GP 鈴鹿です。
2コーナーでコースオフしてリタイアしたナイジェル・マンセル。
マシンを降りた後、コースを横切り、最短ルートでピットまで走って帰る姿です(笑)
マンセルがコースを横切った直後、すぐにそのコースをマシンが通過していく様子も解ると思います。
ちなみにこのレースでS字でリタイアした、日本での引退レースの中嶋悟さんも同じくコースを横切りピットに戻っています。
コースを横切りながら観客に手を振る姿は感動で、管理人も泣きながら現地で『なかじまぁー、今までありがとぉ!』と絶叫していました(笑)
というくらい当時は危険なんて考えずに、これが普通だったのですが、これも今から考えるととんでもなく危険ですよね。
ピットレーンは速度制限なく、全開走行!
こちら、1989年のF1日本GP 鈴鹿です。
セナとプロストがシケインで激突し、セナだけがなんとかピットインして修理します。
その後、ピットレーンを全開で走行してコースに復帰していく姿です。
これも当時は普通の光景だったのですが、、、
もしピットレーンでタイヤがパンクしたり、サスペンションが折れたりしていたら・・・
考えただけでも恐ろしいですよね。
この動画は鈴鹿なのでまだ良いですが、
ちなみにモナコのとても狭くて人が密集しているピットレーンですら、F1マシンが全開で走行していました。
何事もなくて良かったですが、今振り返ると何か不幸な事故があっても全くおかしくない状況でしたよね。
レースでのアクシデントは、基本はペナルティ無し!
当時はレース中のアクシデントに対し、ペナルティが出ることはまずありませんでした。
現在の基準では必ずペナルティが出るような一方のドライバーの責によるクラッシュでさえ、基本的にはタイム加算やグリッド降格などのペナルティが存在しませんでした。
『基本的には』としたのは、とんでもなく悪質なクラッシュにはペナルティが出たこともあります。
こちらの写真は、1989年ポルトガルGPのマンセルとセナのクラッシュです。
マンセルが、どれくらいとんでもない状況だったかというと、、、
- ピットで逆走する違反を犯し失格が決まった
- 失格を示すブラックフラッグも振られていた
- しかしマンセルはブラックフラッグを数周に渡り無視
- チャンピオン争いをするセナを抜きにかかりクラッシュ
さすがにこの事故に対しては、反スポーツマンシップの行動として、マンセルには1戦の出場停止ペナルティが課されました。
逆に言うと、これくらいとんでもない状況でようやくペナルティが出るレベルだったということです。
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1980~90年代のF1の常識を見てきました。
現代のF1からは考えられない、危険と隣り合わせの常識ばかりでしたね。
管理人が知らない、1970年代以前のF1はきっともっとすごい状況だったのではないでしょうか。
安全への意識が大きく変わったのは1994年からだと思います。
セーフティーカーが導入され、セナやラッツェンバーガーの事故死からF1が多くを学んだ年です。
F1マシンの安全性だけではなく、レギュレーションやペナルティ規定なども併せて改善することで、現代F1レースの安全性が確立されていることがよく理解できました。
冒頭に書いた通り、今年は危険な出来事が多かった年です。
安全対策には終わりは無いので、FIAや関係者にはさらなる安全対策を期待して、これからも楽しいF1を提供し続けて欲しいと思います!
以上、今からは考えられない、一昔前のF1の常識についてでした!