ルイス・ハミルトンが、ミハエル・シューマッハーと並ぶF1歴代最多勝91勝を先日のF1アイフェルGPで達成しました。
その後、いろいろなニュースや関係者のコメントを見ていると、あらためて91勝という数字の重みを感じます。
こんな歴史に残る凄い記録をリアルタイムで観れることに幸せを感じつつ、どこまで記録を伸ばしてくれのか、これからも楽しみに観ていきたいと思います。
ところで2007年にデビューしたハミルトン、これまでチームメイトは5人います。
- F.アロンソ
- H.コバライネン
- J.バトン
- N.ロズベルグ
- V.ボッタス
このうち3人はワールドチャンピオンで、残り2人も含めて全員がF1ウィナーです。
そのような厳しい状況で、常にチームメイトよりも優位を保ち、デビューしてから毎年必ず優勝とポールポジションを取り続けています。
これまでのチームメイトにどのように打ち勝ち、今日のF1最多勝まで辿り着いたのか。
具体的にデータにして見たことはありませんでしたので、91勝の記念にその足跡をデータとともに振り返りたいと思います。
これまでのチームメイトとごとに、予選成績と年間成績にわけて、対戦データをまとめました。
- 予選勝敗は、エンジン交換などによるグリッド降格を考慮せず、降格前の予選順位でカウントします。
- 数字は左側がハミルトン、右側がチームメイトです。
VS フェルナンド・アロンソ(2007年)
予選対戦成績
年度 | 予選勝敗 | 勝率 | PP回数 |
---|---|---|---|
2007年 | 9勝 – 8敗 | 52.9% | 6回 – 2回 |
年間成績
年度 | ポイント | ランキング | 優勝回数 |
---|---|---|---|
2007年 | 109pt – 109pt | 2位 – 3位 | 4回 – 4回 |
まず最初のチームメイトは、前年に皇帝ミハエルを倒し2度目のワールドチャンピオンとなったフェルナンド・アロンソ。
いきなりトップチームでの恵まれた体制でのデビューとはいえ、新人で当時最強のチャンピオンと比較されるという厳しい状況。
ところが、ご覧の通り新人ながら互角以上の成績を残します。
予選勝敗もPP回数もアロンソを上回り、とんでもない新人が現れたと驚嘆した記憶があります。
年間成績も、アロンソとまったく同ポイント、勝利回数も同じで2位回数の差でランキングも上回ります。
結果的にアロンソはチームを去り、エースドライバーの座を手に入れます。
今思えば、当時の歴代最多勝ドライバーを倒したアロンソと、将来の歴代最多勝のハミルトンという、夢のような組み合わせの年でした。
VS ヘイキ・コバライネン(2008~09年)
予選対戦成績
年度 | 予選勝敗 | 勝率 | PP回数 |
---|---|---|---|
2008年 | 14勝 – 4敗 | 77.8% | 7回 – 1回 |
2009年 | 12勝 – 5敗 | 70.6% | 4回 – 0回 |
合計 | 26勝 – 9敗 | 74.3% | 11回 – 1回 |
年間成績
年度 | ポイント | ランキング | 優勝回数 |
---|---|---|---|
2008年 | 98pt – 53pt | 1位 – 7位 | 5回 – 1回 |
2009年 | 49pt – 22pt | 5位 – 12位 | 2回 – 0回 |
合計 | 147pt – 75pt | – | 7回 – 1回 |
つづいてのチームメイトは、ヘイキ・コバライネン。
前年2007年にルノーからデビューし、ベテランのジャンカルロ・フィジケラを上回る走りを見せて注目の若手ドライバーでした。
さすがにアロンソの時ほど拮抗したチームメイトバトルにはならず、予選も年間成績も圧倒していることが解りますね。
それでもコバライネンは、2008年にはしっかり1勝を上げ、表彰台にも複数回上がっている良いドライバーでした。
組んだ相手が悪かったというか、さすがに将来の歴代最多勝ドライバーには敵わなかったということがよく解りますね。
VS ジェンソン・バトン(2010~12年)
予選対戦成績
年度 | 予選勝敗 | 勝率 | PP回数 |
---|---|---|---|
2010年 | 14勝 – 5敗 | 73.7% | 1回 – 0回 |
2011年 | 13勝 – 6敗 | 68.4% | 1回 – 0回 |
2012年 | 16勝 – 4敗 | 80.0% | 7回 – 1回 |
合計 | 43勝 – 15敗 | 74.1% | 9回 – 1回 |
年間成績
年度 | ポイント | ランキング | 優勝回数 |
---|---|---|---|
2010年 | 240pt – 214pt | 4位 – 5位 | 3回 – 2回 |
2011年 | 227pt – 270pt | 5位 – 2位 | 3回 – 3回 |
2012年 | 190pt – 188pt | 4位 – 5位 | 4回 – 3回 |
合計 | 657pt – 672pt | – | 10回 – 8回 |
3人目のチームメイトが、ジェンソン・バトン。
2009年にワールドチャンピオンとなり、ハミルトン中心のチームとなっていたマクラーレンに移籍してきました。
当時、このバトンの移籍決断には賛否両論ありましたが、結果的にはバトンがさすがチャンピオンという走りを見せ、レースではハミルトンと互角の戦いを繰り広げます。
表の緑字ですが、ハミルトンにとってはデビュー以来、2011年には初めてチームメイトに年間成績で敗れた年となります。
面白いのは、予選結果はコバライネンとほぼ同等の圧倒的な勝率で勝っています。
PP回数も圧倒的な差があります、でもさすがレース巧者のバトンです。
年間成績ではきっちりバトンが結果を出しているのがよく解りますね。
もしかしたら、今のハミルトンのレース巧者ぶりは、この時バトンと組んだことで成長したものなのかもしれませんね。
VS ニコ・ロズベルグ(2013~16年)
予選対戦成績
年度 | 予選勝敗 | 勝率 | PP回数 |
---|---|---|---|
2013年 | 11勝 – 8敗 | 57.9% | 5回 – 3回 |
2014年 | 7勝 – 12敗 | 36.8% | 7回 – 11回 |
2015年 | 12勝 – 7敗 | 63.2% | 11回 – 7回 |
2016年 | 12勝 – 9敗 | 57.1% | 12回 – 8回 |
合計 | 42勝 – 36敗 | 53.8% | 35回 – 29回 |
年間成績
年度 | ポイント | ランキング | 優勝回数 |
---|---|---|---|
2013年 | 189pt – 171pt | 4位 – 6位 | 1回 – 2回 |
2014年 | 384pt – 317pt | 1位 – 2位 | 11回 – 5回 |
2015年 | 381pt – 322pt | 1位 – 2位 | 10回 – 6回 |
2016年 | 380pt – 385pt | 2位 – 1位 | 10回 – 9回 |
合計 | 1334pt – 1195pt | – | 32回 – 22回 |
つづいて、カート時代からの親友、ニコ・ロズベルグとチームメイトとなります。
2013年の移籍当初は、ハミルトンが慣れないマシンに手こずるところも見られました。
前年よりも前からチームに居るロズベルグの方が有利にも見えましたが、優勝回数以外は、予選結果も年間成績もいきなりロズベルグを上回ります。
そして、2014年からメルセデスの黄金時代の始まりです。
驚きだったのは、ハミルトンが2014年に予選成績で初めてチームメイトを下回ったこと。
予選でハミルトンが不運に見舞われたレースもありましたが、それまで予選で圧倒的な速さを見せていたハミルトンです。
これにより、ロズベルグも只者ではないドライバーだと思った記憶があります。
しかしこの年以降は、何度もレース中に不運に見舞われた2016年以外は、予選も年間成績もロズベルグを上回ります。
とは言っても大差とまではいかない差でしたので、やはりロズベルグもさすがワールドチャンピオンに相応しいドライバーだったということではないでしょうか。
VS バルデリ・ボッタス(2017年~)
予選対戦成績
年度 | 予選勝敗 | 勝率 | PP回数 |
---|---|---|---|
2017年 | 13勝 – 7敗 | 65.0% | 11回 – 4回 |
2018年 | 15勝 – 6敗 | 71.4% | 11回 – 2回 |
2019年 | 14勝 – 7敗 | 66.7% | 5回 – 5回 |
2020年* | 8勝 – 3敗 | 72.7% | 8回 – 3回 |
合計 | 50勝 – 23敗 | 68.5% | 35回 – 14回 |
*第11戦アイフェルGP終了時点
年間成績
年度 | ポイント | ランキング | 優勝回数 |
---|---|---|---|
2017年 | 363pt – 305pt | 1位 – 3位 | 9回 – 3回 |
2018年 | 408pt – 247pt | 1位 – 5位 | 11回 – 0回 |
2019年 | 413pt – 326pt | 1位 – 2位 | 11回 – 4回 |
2020年* | 230pt – 161pt | 1位 – 2位 | 7回 – 2回 |
合計 | 1414pt – 1039pt | – | 38回 – 9回 |
*第11戦アイフェルGP終了時点
そして最後、現在のチームメイトであるバルデリ・ボッタスです。
ご覧の通り、コバライネンほど圧倒された結果にはなっていませんが、3人のチャンピオンと比べると見劣りするような結果となっています。
調子のよい時は予選や決勝で圧倒するようなことがあっても、その好調を長く維持できないのがボッタスの弱みではないかと思っています。
それがデータにもよく現れていると思います。
それでも逆に、予選では30%以上はボッタスが勝っているわけです。
なのでボッタスも十分速いドライバーだと思います、しかし相手が悪すぎるというより仕方ありませんね(笑)
対チームメイト 通算成績
予選対戦成績
年度 | 予選勝敗 | 勝率 | PP回数 |
---|---|---|---|
通算 | 170勝 – 91敗 | 65.1% | 96回 – 47回 |
*2020年 第11戦アイフェルGP終了時点
年間成績
年度 | ポイント | ランキング | 優勝回数 |
---|---|---|---|
通算 | 3661pt – 3090pt | – | 91回 – 44回 |
*2020年 第11戦アイフェルGP終了時点
最後に、すべてを合計した、これまでのルイス・ハミルトンのF1レース合計261戦の対チームメイト通算成績です。
- 予選では約3回中2回はチームメイトに勝ち、自身がポールポジションを取り相手に取らせない。
- レースではチームメイトより約118%ものポイントを稼いできて、2倍以上の回数の優勝をもぎ取る。
こんな結果が出ました、なんという驚異的な数字なんでしょうか(笑)
常にナンバー2ドライバーとチームを組んでいたのならまだ解りますが。
これまで参戦の14年間で、チームメイトがワールドチャンピオンだった年が8年もあります。
その状況で、この異常な数字を叩き出しているわけですね。
やはりルイス・ハミルトンは、歴史的な偉大なチャンピオンであることが数字でもよく解かった気がします。
F1最多勝記録に並び、これからさらに100勝以上まで伸ばし続ける可能性があります。
こうなったら歴史の目撃者になれるという気持ちで、これからも圧勝劇を楽しんで応援することにします!
以上、ルイス・ハミルトンのチームメイト対戦成績でした!